トラファルガー

英国政府は今年夏、ナポレオン軍を破った「トラファルガーの海戦」(1805年)の旗艦として名高い「ビクトリー号」の大規模修復を始める。

 約250年前に建造された世界最古の現役艦船は、英海軍の歴史を伝える存在だ。

 最新鋭の駆逐艦や掃海艇など灰色の軍艦が並ぶ英国最大の軍港ポーツマスで、全長約70メートルの木造帆船ビクトリー号の優美な姿はひときわ目を引く。

 トラファルガーの海戦では、ホレーショ・ネルソン提督が100門以上の砲を備えるビクトリー号で27隻の艦隊を指揮し、ナポレオンが組織したフランスとスペインの連合艦隊を撃破した。しかし提督は船上で敵の銃弾を受け死亡した。

 ビクトリー出会い号はその後、兵員輸送や士官の訓練に使われ、1922年からはポーツマス港に係留される。海軍の重要式典の舞台となるほか、一般公開され年間約35万人が訪れる。新たに任命される海軍の艦長はビクトリー号で「艦長心得」を学ぶのが伝統だ。

 現在の艦長は1765年の進水時から数えて99代目のオスカー・ワイルド海軍少佐(49)。乗員は16人で、船の警備と異常の有無のチェックが主な任務だ。もともと耐用年数を80年程度と想定し建造された木造船を、250年近くも「現役」として維持するには相応の手入れが必要だ。今夏から船底を中心に船全体を補強するが10年がかりの作業になるという。

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